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「でも親子じゃ結婚できないわよ?だからもっと他の男に目を向けて?先生のことは私に譲ってよ」
「なに言ってるんですか?父は父です。そんな感情持ってません!」
なんでこんなこと言われなきゃいけないんだろう。お父さんとお母さんまで侮辱された気がして、自然に涙が溢れてきてしまう。
それにも構わず、成瀬さんが今度は私の腕を掴んで自分に抱き寄せようとしてきた。
「やだっ、やめてくださいっ」
「結構可愛いじゃん。凜花ちゃんだっけ?禁断の愛とかキモいことやめて、俺と付き合おうよ」
「やめ……」
抵抗する私の声を、地響きとともに轟音が遮った。
花火だ。
夕空に場違いに火花が散ったその刹那。成瀬さんの身体が真後ろに飛ぶ。
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