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「凜花ちゃんにケガさせるとか、2人とも最低ね!」
「菊川は先生目当てでうちのゼミに来たんだろ?研究内容に興味ないのバレバレだったし」
「勉強会も抜け出しやがって。お前ら大学にもこのこと報告するからなっ?」
不満げな表情の菊川さん達が強く責め立てられている。ゼミ生さん達が私の味方をしてくれていることに、先ほどの恐怖や悔しさがだいぶ収まってきた。
「ごめんね凜花。菊川さんは少し変なところがあったんだけど、まさか凜花に危害を加えるなんて」
「お父さんのせいじゃないよ……」
「僕のことを聞いて回ってるのは他の先生方から聞いて知ってたんだ。まあ、探られて困ることもないからって放っておいたんだけど。浅はかだったよ」
お父さんは横目で睨むように菊川さんを見て、それから私の頬に触れてくる。成瀬さんと真逆で、温かくて心地いい。
「凜花がヨチヨチ歩きの頃から僕は父親なんだ。これから先だって、ずっとそうだよ」
「うん……!」
涙がこぼれる。そうだよ。当たり前のことなのにね。
私の返事に満足したように微笑んだお父さんの視線が、ふと私の真下で止まる。
そこでは名絆くんが下を向いたままでじっとしていた。
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