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「……へ!?凜花ちゃん今、キ……ス」
頬へ唇が触れただけだけど。それでも今の私には精一杯の意思表示。
「さっきは助けてくれてありがとう。飛んできてくれて、嬉しかったよ」
「おっ……俺こそありがとう!なにこれ!?助けたご褒美!?最高のご褒美じゃんっ!」
私はその恰好のままで遠慮なく腕に力をこめて、思い切り名絆くんに抱きつく。
「違うよ。ご褒美とかじゃないよ」
「そ……うなの?」
そうだよ。そんな特別なモノじゃないの。だってこれは……。
「名絆くんのこと好きだから。それだけ」
底知れない悲しみを呼び起こすはずの夏の終わりに、私は恋を自覚した。
優しくて真面目で。いざとなったら守ってくれる、頼れる人に。
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