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凜花(りんか)ちゃん、背負い直していい?」 「あ、うん。ありがとう」 名絆(なずな)くんが膝をついたので、私はゆっくりとその場に降りる。 するとすぐに立ち上がってこちらを振り向いた名絆(なずな)くんとばっちり目が合った。その表情はとても真剣で……信じられないくらいにカッコいい。 「えっと。もしかしてやっぱり重かっ……」 恥ずかしくて一歩下がろうとした片足が宙に浮いた。名絆(なずな)くんが私を持ち上げるように包み込んだのだ。 「わっ!?」 「今さ、入学式で会った時よりもドキドキしてる!夏が終わっちゃうのに、すっごく嬉しい」 (ああ、夏の終わりだ。じゃあそろそろ咲こうかな?そろそろ実をつけようかな?) 楽しそうなあの日のお母さんの声が聞こえてくる。 そっか。夏の終わりは悲しくなんかなくて、お母さんと過ごした一番幸せな時間だったんだ。 「俺も好きだよ凜花(りんか)ちゃん。大好き!ありがとう!」 お礼なんて言わないで?植物と同じように思ったただけだよ。これはただの、私の一人語り。 (ああ、夏の終わりだ。じゃあそろそろ……恋しようかな?) ってね。
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