17人が本棚に入れています
本棚に追加
6. 急な誘い
「え? いいんですか?」
私は、思わず、飛びつくように言った。
放課後、お母さんとの待ち合わせのために、いそいそと帰りじたくをする想太を横目で見ながら、私も、カバンに荷物をつめこんでいた。
(今日は、帰りは、1人だな……)
そう思うと、なんだかテンションが上がらない。そのとき、想太が言った。
「途中まで、一緒に帰る?」
「え? いいの?」
「うん。途中まで、道同じやし」
「かっ、かえる! 一緒に」
思わず、飛びつくように言ってしまう。あわてて、周りを見回すと、ナナセもミヤちゃんもサトミちゃんもいない。よかった……。ほっと息を吐く。
そういえば、放課後、美化委員会の作業があると言ってたっけ。
校門を出て、並んで歩きながら、想太が言う。
「なあなあ。みなみ。オレな、今ちょっと迷ってることあるねんけど、今度相談していい?」
「え? 相談? 私で答えられるかな?」
「だいじょぶだいじょぶ。みなみなら、きっと。今日は無理やから、また、今度きいてな」
想太は、軽く笑いながら言ったけど、相談って何だ? 気になるけど、それきり、想太は、その件について話そうとする気配はない。軽く鼻歌なんて歌いながら、隣を歩いている。
前から歩いてきた、制服姿の女子中学生たちが、ヒジでつつき合いながら、想太をチラチラ見て通り過ぎていく。すれ違うとき、(めっちゃ可愛いね~あのこ)とか言ってる声が聞こえる。
最初のコメントを投稿しよう!