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私は想太が好きだ。それなのに、なぜか時々、彼がうらやましくて、気持ちがへこんでしまうのだ。
人をうらやんでも仕方ない。私は私だ。私に出来ることを精一杯やればいい、なんて自分に言い聞かせてみるけれど、なんだかモヤモヤしてしまうことがある。
情けないけど、私は、想太に嫉妬してるのかもしれない。
そんなとき、私は自分の中の、少し薄暗い部分を見たような気がして、後ろめたくなる。自分のことを、ヤなやつだな、って思ってしまいそうになる。
想太は、そんな私のイヤな部分にも気づかずに、いつも爽やかな笑顔で、私に笑いかけてくれる。
(それなのに、私って、なんて心の狭い、情けないやつなんだ)
何でこんなことを、うじうじと考えているかというと、今日の英会話のレッスンで、私は、全然思うように話せなかったからだ。発音はともかく、言葉が出てこなくては、話にならない。しかも、焦るとついついうつむいてかたまってしまう。想太とは、真逆だ。
(想太はいいな……。なんで、私、想太みたいに出来ないんだろう……)
夜、ベッドの中で、今日のレッスンで、話したかったことを英語でつぶやいてみた。すらすらと、言葉が浮かんでくる。今なら、上手く言えるのにな。……情けない。
私は、ちょっとしょんぼりしながら眠りについた。
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