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新しい仲間
◇
ぼくと森さんの後を、メーイチが入る。
二日ぶりのこの空間。少し埃っぽいところは相変わらずで、それがなんだか心地よく感じた。
「ここになにがあんだよ」
メーイチは室内を見渡しながら声を出す。若干の恐怖を感じているのかもしれない。小人を見たらどんな顔をするんだろう。ぼくは想像して、少しだけニヤついた。
「四時半までだぞ。それを過ぎたら藤原さんが鍵閉めるんだからな」
「わかってる。大丈夫。それ以上は絶対にかからないから。おい! 小人! もう一人の光の同志連れてきたぞ! 早く出てこいよ」
「はあ? なんだそれ? なんだよ小人って」
メーイチがそう言葉にすると、棚の陰から見覚えのある奴が出てきた。そいつはぼくらの前に姿を現すと、当たり前みたいに宙に浮かんだ。
「うわぁああ! な、なんだこれ」
メーイチはわかりやすいぐらいに驚いて、ぼくがそうだったように尻もちをついた。
「神さま。小人ではありませんよ私は。大賢者クロム、そういった名前があるのですから」
「しゃ、しゃべった!」
「随分とお久しぶりにようで。この二日間なぜ来られなかったのですか? ラバンは相変わらずパルファに留まり続けているというのに」
小人はメーイチのことを見たにも関わらず、それを無視しながらぼくらに話し続けている。
「用務員さんが、ここの鍵を閉めちゃって入れなかったんだよ。ぼくらだって土日も欠かさず学校へ来てたんだから」
「そうですか。どちらにせよ、神さまがなにも行動を起こさなければ彼も動けないわけなのでね。まあ、私がとやかく言うことではないですね。それで、そちらが新たな光の同志ですか?」
小人が体全体の向きを変えて、メーイチの方を見た。すると、それに驚いて彼は尻もちをついたまま後退りをした。
「なんだよ、なんだよ」
メーイチはぼくと森さんを何度も見て、助けを求めているようだった。クラスでも頼り甲斐があり、みんなから慕われているあのメーイチが。少しだけ優越感に浸ってしまう。
「小人さん、バラムードの世界地図を見せて。それとあの本も」
「小人ではなく、大賢者クロムという名が……。ごほん、わかりました。いまお見せしましょう」
小人がふわりと体を動かすと、それまでそんなものはなかったはずなのに棚の奥から大きな世界地図を取り出した。彼はそれを体全体で広げていく。床に転がるバラムードの地図。
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