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指輪の前の逆プロポーズ
小さな口論で別れた夜
ひとり反省して猛省して
短絡的な自分を叱った
あなたがくれた無数の優しさ
私が返した小さな何か⋯
音楽を聴く気にもなれない
いま欲しいのは
あなたからの着信音
ぐるぐる後悔が渦を巻き
スマホを抱きしめて眠った
夢の中
あなたは言った
「ホント、バカなやつだし
俺が面倒みるしかないだろ」
そして
薬指にリングをはめてくれた
目覚めたのは
聞き慣れた大好きな音楽
あなたからの着信音
飛び起きて正座して
声を明るめに設定し
少し震えた心で編むように
昨日はごめんね！と謝る
そしたらあなたは
「日付変わったから許す」
いつもの温かい音色
私にもたらした安心感
話は少しずつ和やかに進み
指輪をもらった夢を見たと
自虐みたいに言ったら
あなたはくすくすと笑った
「昨夜渡すつもりだったんだよ」
でも私がバカだったから
売り言葉に買い言葉で
渡せなかったんだって
それ欲しい
今すぐ欲しい
思うままに告げた
だめな私には
あなたじゃなきゃだめ
足らない私には
あなたを足さないとだめ
私はいつも足を引っ張るから
１＋１＝２にならなくて
ごめんね⋯
するとあなたは
またくすくすと笑った
「ふたりで１になればいいさ」
だめな私には
あなたじゃなきゃだめ
あなたがいなくちゃだめ
これは
指輪の前の逆プロポーズ
さてさて
あなたの返事はどうかしら？
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