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中学生位の男女四人組
『扉がしまります。ご注意下さい』
と車内アナウンス後、ドアがプシュッと閉まった。車内を見渡すと、結構乗客でごった返していた。丁度ドアの前、私が座っている前辺りに中学生位の男女四人組が立っているのがチラッと目に入った。男の子二人は、Tシャツにハーフパンツっぽい感じの格好で足元はビーチサンダル。女の子一人はワンピースっぽい、もう一人は少し背伸びをした感じで白っぽいカットソーっぽい?膝上のフレアーっぽいスカートで、腰にはパーカーっぽいのを巻いていた。二人とも足元はサンダルで爪はかわいいマニキュア。何となくこの四人組でちょっと想像してみた。
(これからみんなで琵琶湖に泳ぎに行くんかな?仲良し四人組?それとも、お互い友達のカップル同士?うらやましい…いいなぁ…。楽しそうやなぁ…。青春やなぁ…キラキラなぁ…うらやましいなぁ…)
車内の私は、やっぱり手持ちぶさたで、次はエブリスタのアプリで読み掛けの作品を読むことにした。ぽちぽちして読み出すと、タグに〈#過激表現〉があった作品やと思い出して、〈のぞき見ブロック〉機能を設定する。
回りのざわざわが心地よく、回りも少し気にしつつ、落ち着いて作品が読める。読み進めていくと、さっきの四人組が話し出した。意識が、そっちに飛んだ。
「夏休み、残り少ない…遊ばな~」
「ホンマやな~…って、宿題終わった?」
「後少し…○○は?」
「終わった!」
「マジで!?」
こちら男の子二人の会話。
「今日、近江舞子人多いかなぁ?…」
「どうやろうなぁ?行ってみんと分からんし」
「そうなんやぁ。人、多くなかったらいいのに」
「ほんまやなぁ…あんな、私な、見て見て~!昨日、足の爪にマニキュア塗ってん。ほら!見て見て~」
もう一人の女の子が下を向いたようで、
「わぁー、むっちゃかわいい~!ピンクと薄い紫合うんや~」
こちら女の子の会話。
こんな会話、聞いてしまったら、この四人組にまた想像してしまう!
(近江舞子で降りはるんやぁ。湖水浴いいなぁ!リア充や!男の子の水着はハーフパンツかな?女の子は、かわいいビキニ?タンキニ?ちょっとセクスィーなビキニ?タンキニ?パラソルはレンタル?浮き輪、男の子膨らます?日焼け止めは誰が塗るんやろ…?)止まりません!!想像からの妄想が!
あんまり聞き耳立てるのもどうかと思って、エブリスタの作品を段々読み進めていったら、段々回りのことが気にならなくなり、気が付いたらあの四人組がいなくなっていた。ごった返していた車内もすきすきになっていた。ここで一息、家で作った牛乳・砂糖多めの甘~いカフェオレの入ったペットボトルをトートバックから出して飲んだ…けど、甘くなかった、苦い位やった。あの四人組は、今頃近江舞子の湖水浴場で、キャッキャ楽しんでんのかなぁ…と、ドアの窓から見える空を見ながら思った。
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