633人が本棚に入れています
本棚に追加
「やばい…!shinさん今日も投稿してくれてる!…はぁ…ほんとこの筋肉最高…抱かれたい…」
…そう、俺はバリネコのゲイだった。
更に言うと、会社では私生活でもドSっぽそうと言われている俺だが実際のところはドM。
そして筋肉フェチだ。
ボディビルダーのようにムキムキなのではなく、スラッと細い身体に適度に筋肉がついている所謂細マッチョが好きで、ゲイ専用アプリに設置された掲示板一覧、その中の細マッチョの人達が自慢の筋肉画像を投稿するスレを見ては、その鍛え抜かれた身体にいじめられているところを妄想するのが堪らない。
中でも、『shin』というハンドルネームの男性の筋肉が俺の好みドンピシャで、その肉体美を見る度にめちゃくちゃにして~っ…と尻が勝手に疼き出すので、彼が画像を投稿すると光の速さで保存しては夜ベッドの中でお世話になっている。
しっかりと六つに割れてはいるが、薄い腹。
筋が浮きでているが、細い腕。
余分な脂肪が一切ついていない背中。
どの画像を見ても完璧に美しくて、思わず溜め息が漏れる。
それに比べて俺の身体ときたら…。
「うーん……もちもち…」
かろうじて腕にだけは少し筋肉がついているものの、それ以外はどこを触ってももっちもちのぷにっぷに。
特に頬や腹や尻は、赤ちゃんか!と自分で自分にツッコミを入れたくなるレベルで、筋肉とは程遠い。
まぁ、ただ単に細マッチョが好みというだけで自分がそうなりたいと憧れているわけではないし、今まで関係を持ったことがある相手はみんなこのムチムチ加減が堪らないと言ってくれていたから、抱かれる為の身体としては丁度いいんだと思う。
…今俺が抱かれたいのは、shinさんだけだけど。
「…はぁ…会ってみたいな、shinさん…」
この掲示板にはメッセージ機能が備わっていて、投稿者のハンドルネームをクリックするとその人のマイページに移動し、そこからメッセージを送ることができる。
何度かshinさんのページに飛んではメッセージ送信画面を開き、文章を打ち込んだことはあるが結局送信ボタンをタップすることなく閉じてしまっていた。
何故なら、shinさんは人気者だから。
この掲示板では投稿に対していいねを押したりレスをつけたりすることも可能なのだが、毎回shinさんが画像を投稿するたびに他のユーザーとは比べ物にならない程のいいねとレスがつく。
それぐらい、彼の肉体美は他人を惹き付けるのだ。
だから俺なんかがメッセージを送ったところできっと相手になんてされないし、もしかしたらもう恋人がいるかもしれない。
そう思うとどうしても送信ボタンをタップする勇気が出ず、毎回いいねを押すだけで精一杯だった。
最初のコメントを投稿しよう!