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正確には高速回転する円盤みたいな亀さんの群れだ。四肢を引っ込めた穴からのジェット噴射で飛んでいる。
「強いぞカメさんっ強いぞカメさんっ甲羅タックルぅ」
亀さんたちが怒涛の勢いでアンドレアにブチ当たり、しもべの犬猫ニワトリともども痛めつけて吹っ飛ばす。
「ぐげおっほ!?」
音楽隊の消滅と同時に超音波アタックも中断される。
「アンドレアっ!」
と焦るアナベルに命拾いしたクリガラが微笑みかけ、両の鼻孔に溜まっていた血を強い鼻息で勢い良く抜く。
「ヘイ、外人さんよォ! この鎖、ちぎるの諦めるわ」
「ホワイ!?」
「壊れねェならよォーッ! 他の方法あるぜェーッ!」
「強がりをッ! どうあがいても脱出不可能ォーッ! このまま全身を締め上げッ! 圧殺してやるゥーッ!」
鎖はアナベルの手のひらから無尽蔵に生産され続け、クリガラをがんじがらめにして右の巨腕さえ折り砕く。
だがクリガラは血と汗を流しても不敵な笑顔のまま、首を変形させて長く伸ばすという驚くべき行動に出た。
「反逆のマッスルアート! ろくろっ首オバケでい!」
意表を突かれたアナベルの首にクリガラの首が絡み、大蛇のように巻き付いて凄まじいパワーで締め付ける。
「うぐおォッ貴様ァッ!!」
「さァ根比べだぜェッ!!」
「ナメるなマッスルヘッドめェェェェッ!!」
「もしかして脳筋って意味かァァァァッ!!」
互いにまったく譲らぬ意地の張り合いデスマッチは、骨が砕けるポキゴキッという小気味いい音で終了した。
それは言わずもがなアナベルの首が圧し折れる音だ。
異能者死亡によって拘束具が塵と化して消滅すると、解放されたクリガラは首を元の長さに戻して一息つく。
「てェしたことなかったナ」
「うわぁっ! アネゴぉ!」
涙目のアンドレアが駆け寄ってきて亡骸を抱え上げ、そこにある死という現実に打ちのめされてか泣き叫ぶ。
「よくもアネゴをっ! 許さねぇからなぁファッ○!」
クリガラめがけてキックを繰り出したロバの前足は、恐ろしい鈍器のはずだが容易くキャッチされてしまう。
「うるせェからコイツの舌ひっこ抜いて喉も潰してさ、さっきの技ァ使えなくしてなぶり殺してやろうぜェ〜」
「おっけ〜! 竜宮フィーバーおさかなフィーバー!」
ノリノリの乙姫様が扇子を広げて頭上で振り回すと、バブル時代の軽快なディスコミュージックが流れ出す。
デデ♪ デン♪ デデデ♪ デデデン♪
虚空を泳ぐ魚群が現れてアンドレアに襲いかかった。
「ぎゃあーっ! やめろーっ!」
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