15人が本棚に入れています
本棚に追加
体育倉庫の前
「ハーイ! ブランカお手柄デースね!」
青髪ロングの少女がニコニコ笑ってやってくる。
にこやかに挨拶されたオオカミ赤ずきんは驚いてか、金色の瞳に戸惑いの色を浮かべてジリジリ後ずさった。
「マリナ? いったいなんのことです?」
「おーうゴケンソンめさるな潜入ゴクローさんデース。我らがボスご所望のブツ入手してアンタはエロいデス」
「エロくないです……それを言うなら『えらい』で……じゃなくてどうしてここがわかったのかと聞いてます」
「シンシアの報告あってミーはベルさんのお使いネー。『カグヤ』どこー? ここ閉じ込めてるんデースか?」
マリナが倉庫の引き戸を足でスライドさせて開ける。中にいた下着姿のキサラギとヒイラギ両名と目が合う。
「きゃーきゃーっ! 見ないでよエッチすけべーっ!」
「ごっ誤解デース! 覗くつもりなかったのデース! お取り込みチューカマン……おジャマしまーしタ……」
そっと戸を閉じてシュンと落ち込むマリナをよそに、ブランカはある疑問を抱えてウームと唸りながら悩む。
ラギラギ姉妹を連れ去る際に誰にも見られないよう、超速で移動していたのになぜ自分の仕業とバレたのか。事前に野生の感覚で周囲に人がいないことを把握して、慎重に行動したのにどこでシンシアに捕捉されたのか。
「わからない」
「でもなぜ我々に連絡もせず単独で決行するのデス? それにあのスシ職人の情報だってまだ共有していナイ。ヤクザ・オヤブンの娘が『カグヤ』だと判明したこと、どこで知ったノ? お手柄のひとりじめ、いくナーイ」
とマリナがブランカの顎を指で撫でてクスッと笑う。
「こりゃまたしっぽりオシオキしなきゃイケマセンね」
マリナ・アンデルセン。『ラプンツェル』の語り部。
体毛を手足のように自在に操るという異能者であり、天真爛漫なキャラにそぐわない趣味の持ち主でもある。
「やっ……やめて……気安く触らないで、くださいっ」
「プライドだけご立派な悪戯ばかりのオオカミちゃん、後輩の中じゃいちばんカワイク鳴くこと知ってマース」
美しいウェーブのかかった長い青髪は怪しく逆立ち、さらに伸びてブランカの腰や脚にイヤらしく絡み付く。汗が伝う真っ白な肌の上を舐め回すように這いのぼり、ミニスカートの内側の不可侵領域へと潜り込んでいく。
「くっ……あふっ……」
薄い唇を別の毛先でこじ開けて口内まで犯しながら、獲物の反応を堪能するようにマリナが舌なめずりする。
その時であった。
最初のコメントを投稿しよう!