第2話 因果

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「委員長どうしたの? なんでそんなカッコなわけ?」  バレー部らしき女子がギョッとして駆け寄ってきた。 「なんの集まりなの? こんなとこで仮装パーティ?」  なぜか下着姿の委員長とオトギ話コスプレの3人が、体育倉庫の前で騒がしくしていれば当然の反応だろう。 「ダメよスズキさん! 来ちゃダメぇ早く逃げてぇ!」 「おーう目撃者デス! カワイソだけどしゃーなし!」  言うが早いがマリナは何も知らない一般学生めがけ、針のように尖らせた毛をマシンガンのごとく発射する。  毛針を浴びたスズキさんの全身には細かな穴があき、ジョウロのハスぐちみたいに少量ずつ血を撒き散らす。 「えっえっ何これぇ? ちょっとどうなってんのぉ?」  スズキさんは戸惑い、血の気を失っていく。  呆然として膝を付き、痙攣(けいれん)のあと沈黙する。 「きゃああああーっ! いやーっスズキさぁーんっ!」 「そういやコイツを連れてかなきゃダメなんでしタ!」  思い出したようにパンッと手を打ち鳴らすマリナが、半狂乱のていで泣き叫ぶキサラギを髪で縛ろうとする。 「やらせん!」  誘拐を阻止せんとヒイラギが刃を振るうよりも早く、マリナの髪は不可視のエネルギーによって切断された。 「りありー?」  一瞬にしてショートヘアとなったマリナがたじろぎ、帯電して妖しく輝くキサラギを恐れるように見つめた。 「ミーのヘアをカットしちゃうなんてノーウェイっ! たとえザンテツケンでもインポッセボーですのにっ!」 「ここから……でていけ……!」 「今のが『カグヤ』のパワーだとでも?」 「出ていけッ! わたしの世界からッ!」  キサラギは吠え、右腕を振り払う。  すると次の瞬間、マリナは消えた。  角度の関係からキサラギの視界に入っていなかった、マリナの左肩から先の部分だけ残って地べたに落ちる。 「あの能力……アリスの……!」  というブランカのつぶやきを聞く者などいない。 「キサ! 気をしっかり持つんだ!」  ヒイラギが差し伸べた手をキサラギは打ち払う。 「もうイヤこんなのたくさんだわっ」  嫌悪に歪む表情を恥じるようにうなだれて隠す。 「くだらないヤクザとマフィアのナワバリ争いなんか、どっか遠いヨソの国で好きなだけやってちょうだいよ。『カグヤ』だのなんだのどんだけスゴいか知らんけど、いつの間にキサラギ・シンゲツ争奪戦になってんの?」 「おいキサ!」 「わたしさえいなければみんな死なずに済んだわけ? タッちゃんカッちゃんも……クラスメイトだって……」 「おちつけ!」
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