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路上
「ファッ○! 無能リーダー!」
アンドレアが憤慨して道ばたの空き缶を蹴っ飛ばす。
「やっぱり! アネゴの予感は当たってたんだ!」
数ヶ月前
ニューヨーク市 某ホテル
「お紅茶よ。スコーンもどうぞ」
明らかに無理して作ったとわかる笑顔のアナベルに、おもてなしされながらアンドレアは恐る恐るたずねる。
「疲れてません? 最近ゲンキないっすよアネゴ」
「わかっちゃう? アンには隠し事できないなぁ」
アンニュイ姉貴分がタメ息まじりに悩みを語り出す。
「先週、『彼』とデートしたんだけどね」
彼とはグリム・ファミリーの偉大なるボスのことだ。
「『オトナっぽくなったね』ってお世辞を言われたの。こう目をそらしてガッカリしているみたいに言うのね。ワタシは奥さんに負けたくなくて頑張ってるつもりよ。なのにあんな反応されちゃって予感が確信に変わった」
「えっ?」
「彼……ロリコンなの」
「へっ?」
「テラーズ部隊がファミリーを強大にしたのは事実よ。創設理由が彼の趣味の延長線上にあるにせよ結果的に」
「く……くだらねぇ〜」
アンドレアはドロドロに脱力すると卓上に突っ伏す。
「じぶんもボスに視姦されてたわけっすかキチィわ〜」
「アンちゃんカワイイもんねツインテールお似合いで」
「やっ茶化さないでくださいよぉ割とショックなんす。こちとらマジメにギャングスター目指してたんすよぉ。なのに実質ボスの愛玩動物でしかないとかキモいっす。いっそポリコレスタイルのモヒカンにして抗議すっか」
「ダメダメ……可能な限りロリっぽくしておきなさい。さもないと……あっさり捨てられて消されちゃうわよ。まァ努力しても旬が過ぎたとボスに判断されたら最後。年齢のストライクゾーン外れる頃には総入れ替えかも」
「まさかっ……成り上がりたくて血で汚れてきたのに、そんなのっ……あんまりにも甲斐がないじゃないすか」
「いざとなれば妹分のアナタやマリナはワタシが守る。くわせ者のリリアンにだって好きにさせるもんですか」
アナベルがアンドレアに寄り添って小さな肩を抱く。
「家族だもの」
現在
「その時がやってきた! もう組織なんか信じねぇ! リリアンも回しモンだ! うちら使い潰すつもりだ!」
ピンク色のツインテールを振り乱すヤンキー少女は、狭い路地に差しかかって謎の女児とぶつかってしまう。
「こらチビガキっ」
「ほえ? 英語? どゆ意味?」
「オマーエ! ショートショートちーびっ!」
「アタイの……どこが……ちっこいっての?」
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