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13❧-
「ただいまー」
「お帰りなさい。無理言ってごめんね。
寂しくて……ずっと皇紀の顔見れてなくて、そしたら会いたいなぁーって」
俺はそんな可愛いことを言う友里の頭をクシャクシャッと撫でた。
「俺の方こそごめん。
自分のことだけで頭がいっぱいでさ、友里のこと構ってやれなくて。
まぁ~、とにかくあっちでは予想外にえらい目にあってるわ」
「ほんと大変な時にごめんね。
でももう私には話せる人が皇紀しかいないから」
「そうだよな、それ俺のせいだから。
それなのにちゃんと話し相手になれてなくてごめん」
「やっぱり3年しないとこっちには帰ってこれないんだよね?」
「そんな感じだな。
長引きそうな予感はしても短くなりそうな予感はしないな」
「私もいっそのこと皇紀の側に行こうかな」
「それができりゃあ一番いいんだろうけど……。
ま、追い追い考えよう」
結婚が決まった者同士でもないのに気安く『あっちへ来いよ』
とも言えない。
今の状況はとにかく何もかもが宙ぶらりん過ぎた。
将来の可能性を残しつつ俺は逸る友里を何とか宥なだめた。
7/3
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