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この時も彼女から慰められ仕事までも手伝ってもらった。
本来ならしなくてもいい仕事、残業を独りだけでこなさなければ
ならなかったとしたら、とても気が滅入ったことだろう。
けれどベテランの根米に手伝ってもらったことで不安もなくなり
気持ちが軽くなった。
依存しているとは思いたくないけどいつの間にか知らず知らず
頼りにしているのは否めない。
この時、機転の利く根米は書類にすごい仕掛けを仕込んでいたようで、
後日係長は自分の責任でしなければならなかった仕事を俺に押し付けて
いたことがバレてこっぴどく課長を飛び越えて部長から叱責を
受けることになった。
わざと数字を書かずにいた個所があり課長や部長に訊かれた係長は目を
白黒させるばかりだったようで。
俺を呼びつけ訊いてきた。
書類を見た俺は『あっ、根米が手伝ってくれたページだ』と
すぐに気付いた。
何で? と思ったものの仕事に係わった俺にはちょっと調べれば
すぐにわかるものだった。
お偉いさんがいるにも係わらず、俺が残業させられた腹いせに
自分を嵌めたと勘違いした奴浅野係長はものすごい剣幕で
俺を罵倒してきた。
「どうして君はここの大事な数字を書き込まなかったのか?
俺を恨んで仕返ししたのか?」
『浅野さん、仕事をこなすのに精一杯な俺にそんな芸当できませんよ』
そう反論しようかと口を開きかけた時、気が付くと根米が
大声での叱責を聞きつけたのか、応援に駆けつけてくれた。
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