『苦しめてごめん・・』―消せない過ちを悔いる日々―  

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16 「係長、神尾くんはそんなことをするような人じゃありません。  私も残って昨日は彼と一緒に係長が押し付けて帰った書類を 手伝ってました。  それ、わざと数字を入れてなかったの、私です。  2人がかりで2時間も掛かる仕事を神尾くんに定時になってから 押し付けたじゃないですか。  れっきとしたパワハラですよね。  神尾くんはこちらへ異動になってからずっと浅野係長から パワハラを受けてます。  頼めば私の他にも証言できる人が数名います。  このことが原因で神尾くんが会社を辞めたりしたら 会社の大きな損失じゃないでしょうか」 いつも俺に対しては強気の浅野が根米には一言の反論もせず 押し黙り気まずそうにしている。  根米がもんすごい勇者に見えた。  そして目の前にはあっけにとられている部長と課長が。    大森くん(課長)、神尾くんの仕事は君が責任を持って見てやりなさい。  浅野くん決められた仕事を理不尽な形で部下に押し付けないようにな。  うちの社長はこういった類のパワハラとか大嫌いな人だから。  今度同じようなことがあれば社長の耳に入れないわけには いかなくなるから。これから気を付けるように。 「はい、かしこまりました」  この日から睨みつけられることはあるものの、浅野からの 目立つパワハラはなくなった。  このような件もあり、怖いもの知らずの強者(つわもの)、勇者、という 位置づけで根米のことを見るようになった。
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