『苦しめてごめん・・』―消せない過ちを悔いる日々―  

21/57
前へ
/57ページ
次へ
21  あの日の返信から2週間余り後、とんでもない内容の書かれたメールが 友里から届いた。 『子供ができたかもしれない』との連絡だった。  先々月に帰省した時の……と思い当たる節があるだけに 俺の心臓のドキドキが止まらない。  今まで自分から友里からきたメールを根米に見せることは なかったのだが、この時ばかりは自ら進んで根米に見せ 『困ったぁ~』と愚痴を吐いてしまった。  それは残業でオフィスに残っていた時のこと。 「困ったことになった。  あちらに帰っても長居できないのに、そんな中で 彼女一人での出産や子育てが心配だ」             ◇ ◇ ◇ ◇  手に取って俺のスマホの中の画面をジ―っと見つめる根米。  そんなにじーっと眺めなきゃならないほどの文字数ではないはず。  また返信用の文言を能力全開で考えてでもいるのだろうか。  俺は現実から逃避するかのように友里からのヘルプ要請もうっちゃって、 根米の横顔に集中した。 5/1
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

439人が本棚に入れています
本棚に追加