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◇孤独
友里の家を後にしたものの実家へは足を運ぶ気になれず、人工ではあるが
温泉付きで疲れを癒してくれそうなホテルに2~3日滞在することにした。
何せとにかく心身ともに酷く疲れを感じる。
もう何も考えたくないのに走馬灯のように本社へ異動になってからのことが次から次へと思い出される。
転勤さえなければ……。
どうせ辞めることになるのが分かったいたなら、あの時辞めて
ここに残ればよかった。
菜々緒のような性悪女に引っかかることもなかっただろうし、
関りを持たなかったらこんなことにはならなかっただろう。
最初に友里が子供のことで不安げに連絡を寄こした時、どうして
一度友里の顔を見に、話しを聞きにこっちへ帰って来なかったのかと
悔やまれてならない。
これが最初のミス。
その次のミスは堕ろすように言っただけでちゃんとその後のことを
見届けなかったこと。
お互いの連絡がプツリと取れなくなった時もこちらへ一度戻っていれば。
そうだ、今回帰省する前に出したように手紙一通出していれば、
何かが変わっていたかもしれない。
慣れない仕事に忙殺される中での上司からの情け容赦ない叱責、
根米菜々緒の甘言、そんなものに自分は負けたのだ。
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