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それからの俺は、ますます勉強にのめり込んだ。
勉強が出来るせいかなんだかわからないが、俺は意外とモテた。
だけど、女の子よりも勉強の方が興味を引かれ、告白されても付き合うことは無かった。
女の子に現を抜かしているうちに成績が落ちるかもしれない、と思ったら、付き合いなんて出来なかった。
それ以前に、俺には彼女にプレゼントをしたり、デートをする金もなかったからかもしれない。
父は、自分のことを画家だと自称していた。
我が家には金がないというのに、高い画材を欲しがっては、母を苦しめていた。
才能もないくせに、働きもせず、何をやっているのか。
父への憎しみみたいなものが、どんどん膨らんでいった。
やがて、俺は高校に進学した。
このあたりでは一番レベルの高い高校だ。
中学を卒業してからすぐに働くという選択肢もあったが、長い目でみれば、やはりそれにはリスクがあると思い、進学することにした。
国の支援もあるし、バイトも始めるつもりだったから、意外と心配はなかった。
勉強の時間が削られるのは嫌だったが、初めてのバイトは悪くはなかった。
子供の頃から食器洗いはしてたし、レストランの皿洗いなんて簡単なものだ。
その上、金がもらえるし、賄いも食べさせてもらえる。
家でだらしない父親にイライラさせられることもないし、天国みたいな状況だった。
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