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やがて、月日は流れ、進路を決める時期になった。
「君ならなれると思うよ。」
担任が、弁護士を目指せと言って来たんだ。
大学の法学部に通い、司法試験を目指せ、と。
弁護士といえば、エリートだ。
その分、とても難しいのだから、俺になれるかどうかは分からないが、でも、もしも、弁護士になれたら…
俺の生活がガラリと変わることは間違いない。
もう今までの惨めな暮らしとはおさらばだ。
これは、ある意味、生まれ変わるチャンスなのだ。
「先生…俺、やってみます。」
家から通える範囲で、一番良い大学に入学した。
本当なら、別に行きたい大学もあったが、いくら奨学金をもらうとはいえ、一人暮らしをするだけの金はなかったからだ。
父は、ぐちぐちと文句を言った。
なぜ働かないんだ!?と、自分のことは棚に上げて俺を責めた。
母にも同じように言われたことは少し堪えたが、そんなことは気にしても仕方がない。
俺は自分の人生を歩む。
両親みたいな負け犬暮らしはごめんだ。
(いつか必ず成功してやる!)
俺の胸に固い決意が宿った。
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