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どんな風に聞き出したのかは知らないが、母はまず、出来ることなら、俺と住みたいと思っているらしい。
それならきっと、二世帯住宅でも構わないだろう。
「お母様は、とにかく、明るい日当たりの良い家に憧れがあるそうです。」
「そうですか。」
わかるような気がした。
実家も今の家も日が差さず暗い感じだ。
風通しも良くない。
「今の地域には特に思い入れはないみたいですよ。
静かな場所が良いようです。それから、最近、足が痛いので、スーパーに行くのが大変だとおっしゃってましたから、スーパーの近くが良いかもしれませんね。」
確かに今の家は不便だ。
駅前からも遠いし、スーパーも近くにはなかったはずだ。
「二宮さん、どうもありがとうございます。
だいぶ、目処が立ってきました。」
「あの辺からそう遠くなく、静かな地域でスーパーに近いところを調べてみますね。」
「ありがとうございます。
本当に助かります。」
「新築の方が良いですか?」
「はい、そのつもりですが。」
「もしかしたら、あまりに立派なお家だと遠慮されるかもしれません。
三沢先生にはとても感謝なさってましたよ。
それなのに私はなにもしてやれなかったのに、と、とても悔やまれてました。
ですから、もしかしたら、中古物件の方がお母様の心の負担にはならないかもしれません。」
そこまで考えてくれているのか、と、俺は二宮さんという人に驚きを隠せなかった。
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