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「三沢、今夜は空いてるよな?」
「はい、大丈夫です。」
数日後、坂田から食事に誘われた。
いつも急に言い出すのに、今回は昨日から言われていた。
坂田が俺を連れていったのは、センスの良いイタリアンレストランだった。
彼は、どちらかと言えば和食が好きなのに…
坂田はわざわざこの店を予約していたようだ。
俺達は奥の個室に連れていかれた。
「どうしたんですか?
今日はなにかあるんですか?」
「うん…まぁな。」
そんな話をしている時に、ノックが響き、店員が女性を連れて来た。
すらりとした理知的な美人だ。
「遥香さん、お久しぶりです。」
坂田はその女性を知ってるようだった。
「坂田先生、お久しぶりです。」
当然、女性の方も坂田を知っているようだった。
「三沢、こちらは山那遥香さん、俺の知り合いの判事の娘さんなんだ。」
「初めまして。三沢健人です。」
「初めまして。山名遥香です。」
その時に俺はピンと来た。
これは、見合いのようなものなんじゃないか、と。
俺と坂田が並び、山那さんが向かいに座った。
「こいつ、年は48なんですがまだ未婚なんですよ。
おふくろさんは高齢ですが、頭も体もまだ達者です。」
「そうなんですね。
私は今年38で、バツイチです。
子供はおりません。
両親は共に元気です。」
やはり、見合いだ。
それならそうと言ってくれれば良いものを。
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