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遥香は気さくで話しやすく、第一印象はとても良かった。
「三沢先生のご趣味は?」
「趣味…ですか。」
正直に言えば、趣味は無いに等しい。
アメリカでモテる男になりたくて、流行りのものにいくつか手を出したが、どれもハマるという所まではいかなかった。
俺は貧乏だったから、趣味なんてものを持つゆとりがなかった。
勉強しかしなかったのだから。
でも、そんなことは話すべきでは無い。
「ありきたりですが、読書と音楽鑑賞です。」
「どんなものを?」
「なんでも読みますし、クラシックから流行りものまで、大概のものは聞きます。
あ、あんまりうるさいものやラップは得意ではありませんが。」
「私も本や音楽は好きなんですよ。
何かおすすめの本や音楽があったら、教えて下さい。」
これは、適当に言ったのかどうかを試されているのだろうか?
俺は最近読んだ本と、流行りのK-POPグループを紹介した。
「ありがとうございます。
ぜひ、読んでみますね。」
「おいおい、盛り上がってるじゃないか。
俺はこれで帰るけど、お前たちは飲みにでも行ったらどうだ?
三沢、遥香さんのこと、頼んだぞ。」
「はい。」
わかりやすいというのか、なんというのか…
俺と遥香を置いて、坂田はそそくさと帰って行った。
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