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「では、私の第一印象はいかがでしたか?
好き、嫌いで言えば、どちらでしょうか?」
あまりにストレートな質問に思わず苦い笑いが浮かんだ。
アメリカ人ならいざ知らず、日本人らしからぬ率直さだ。
「そりゃあ、もちろん好きの方ですよ。
あなたは若くて綺麗だし、自信に満ちていて魅力的ですよ。」
「本当ですか?その言葉、信じても良いですか?」
「ええ、もちろん。」
「わぁ、嬉しいです!
実は、私…あなたのことがかなり気に入ったんです。
はっきり言えば、一目惚れかもしれません。
私、あなたの用事が済むのを待ちます。
待ってても良いですよね?」
本当に遥香はアメリカ的だ。
こんなにストレートに言われたら気持ちが良い。
どうこう言わずに、交際することにすれば良いのかもしれないが、家のことが片付かないと、どうも気が散る。
不器用だな。
仕事の依頼なら、同時に引き受けることも出来るのに。
遥香と別れてホテルに戻り、ふと考えた。
もしも、遥香と結婚することになったら、彼女は母との同居を認めてくれるだろうか?
だが、そこは譲れないところだ。
母は高齢だ。残された時間はそう長くない。
俺は今まで出来なかった分、母に親孝行をしたいと思っている。
『今、着きました。
今日はどうもありがとうございました。
とても楽しかったです。』
遥香からのLINEだった。
これだけの言葉に、自然と頬が緩む。
もしかしたら俺は、遥香をけっこう気に入っているのかもしれない。
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