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心が決まってからは、今まで以上に勉強に力が入った。
頑張れば、俺は今の暮らしから抜け出せる。
逆に言えば、このチャンスを逃したら、俺は一生、この腐った生活から抜け出せないということだ。
受験勉強を始めたのは遅かったが、日頃から勉強はしていたせいか、俺は目指していた大学の法学部に見事合格した。
皆、大学に入ったら遊ぶんだと、浮かれていた。
俺のように、強い目的を持って大学に入った者は意外と少なそうだ。
大学入学後は、本当に勉強以外のことは何もしなかった。
もうバイトもやる暇はなかった。
起きてる間は、ほぼ勉強だ。
両親には弁護士を目指していることを話さなかったから、毎日のように嫌味を言われた。
「いい歳をして働きもせず、無駄飯ばかり食いやがって…」
「少しは親のことも考えろ。」
そんな嫌味は右から左に通り抜けて行く。
そんなことを気にする暇なんて、俺にはない。
暑い日も寒い日も、雨の日も雪の日も…
俺はただひたすらに勉強した。
俺は完全に浮いていた。
友達ももちろんいない。
最初のうちは、いろいろ誘ってくれた者もいたが、俺には遊びに行くような暇も金もなかった。
そのうちに、誰も俺に話しかけなくなった。
寂しいはずなのに、勉強の邪魔がなくなって良かったと思っていた。
俺にとっての大学は、勉強をする所だ。
それ以外の関心は何もなかった。
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