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「ありがとう。君のおかげでよくわかったよ。
バイト代が入ったら、必ず、お礼はさせてもらうから。」
「お礼だなんて、そんなのいらないよ。
でも、これも何かの縁だ。
一応、これ、僕の携帯番号。
メアドは間違えたら困るから、後でSMSで送るよ。」
「あ、ありがとう。」
ハローワークはとても混んでいた。
順番を待つ間、近くにいた彼と目が合って、なんとなく会話が始まった。
彼はとてもかっこいい携帯を持っていた。
カメラも付いている。
だから、もしかしたら、携帯について詳しいんじゃないかと思い聞いてみたら、本当にその通りで、色んなことを教えてくれた。
秋山隼人…詳しいことはわからないが、どうやら大学生みたいだ。
いつもは違うハローワークをを利用しているらしいが、今日は本屋に用があり、その帰りになんとなくここに立ち寄ったとのことだった。
そのお陰で、俺は助かったのだが…
結局、俺はまた以前と同じ、深夜のファミレスの皿洗いのバイトをすることにした。
秋山は、今回は決まらなかったみたいだ。
けっこう、条件が厳しいのかもしれない。
約一ヶ月後、また会う約束をした。
そういえば、誰かとこんなに話したのは本当に久しぶりのことだ。
いつもくすんでいた気持ちがなんとなく晴れたような気がする。
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