回復、そして医療の道へ

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回復、そして医療の道へ

 次に意識を取り戻したのはICU(集中治療室)のベッドの上だった。横を見ると母の顔が見える。 「……あっ、お母さん……」  母が嬉しそうな顔を向けてくれる。その瞳は涙で一杯だ。 「真理、気付いたのね。良かった。貴女、ドクターヘリで運ばれたのよ」 「……知ってる。色んな人に助けて貰ったんだよね」 「そうよ。回復したら皆さんにお礼をいわなくちゃね。待って、安曇先生を呼んで来るわ」  直ぐに母が一人の女性医師を連れて来た。 「真理さん、初めまして。担当医の安曇愛理です。意識が戻って良かった」  そこには、あの時、死神と一緒に見た医師の姿があった。あの記憶は……。 「夢じゃなかった」  私の言葉に安曇先生が笑顔を見せてくれる。 「うん、心停止して危ない所だったけどもう大丈夫よ」  その言葉に私は小さく頷いた。 「心停止の原因や今後の治療方針はもう少し回復したら説明するわ。まずはしっかり治すのが重要だからね」 「ありがとうございます。頑張って元気になります」  安曇先生は笑顔で大きく頷いてくれた。
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