29人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
死神の姿が徐々に透明になっていくと同時に、陽毬ちゃんがゆっくり目を開いた。
「……あっ、真理先生。死神……居なくなっちゃったね」
「えっ? そうか、陽毬ちゃんも死神が見えてたんだね」
彼女が小さく頷いた。
「うん、私を真理先生が助けてくれたのも見てたよ」
私も笑顔を彼女に向ける。
「でもね陽毬ちゃんを助けたのは私だけじゃないわ。安曇先生や他の看護師達、そして癌治療薬クォンタムが貴女を救ったのよ」
「うん、分かってる。ねぇ真理先生。私、やっぱり先生みたいなお医者さんになるわ。病気のみんなを助ける凄いお薬を開発するんだ」
「そうね。その夢をきっと叶えてね。そして今度は貴女が誰かの運命を変えて、死神をがっかりさせなきゃね」
陽毬ちゃんが満面の笑みを浮かべ大きく頷いた。
FIN
最初のコメントを投稿しよう!