夜食、精液。

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   いつかどえらいことをやらかすんじゃないかと思っていた。  比喩的表現で、食いついて離れないこいつを、俺は蹴り出すことも出来ずに見下ろしている。下手したら比喩的表現ではなくなる。 「みすず、なんかあったのか?」  何か常識的な話をしよう。変態を変に刺激しては駄目だ。 「ゆうちゃん、私もうダメ。私ってダメな奴なのよ。仕事でもやらかして、彼氏にも振られて。メンタルずたずたなの。もう、死んだ方がましなくらい」  とりあえず手を離せ、と言うべきかどうか。 「それが、どうして今の状態に繋がるのか説明を要する」 「酷い気分だからです」 「いや、説明になってねェ」 「最近、不眠気味で」 「それもなんの説明にもなってない」 「あと、酔っているからです」  それは理由としてはかなり良い線いっているかもしれないが、 「酔っていたで済むんなら警察いらんな」  と返さざるを得ない。  とにかく手を離せ。 「なんかね、女子会でさ、洋子ちゃんがさ、精液飲むと鬱予防になるし、よく眠れるし、ハッピーでいい事だらけなんだっていうからさ」  恐ろしいことだ。  誰が得するのかわからないような噂を一般論みたいに話すのが女子会という社交場らしい。 「女子会ってとんでもない話をするんだな」 「ちゃんと論文が出てるって言ってたんだよ、洋子ちゃんが!」  洋子ちゃん、クレイジー。 「それでね、私の最近、めちゃめちゃなんですよー!」  とにかく、その手を離せ! 「帰れ酔っ払い」 「ちがう、違うから!ちゃんとするから」 「何が違うんだ、馬鹿」 「精液、飲ませてもらっていいですかね?!」  みすずは俺の陰茎を両手でつかみながら懇願した。
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