3話 休日の霹靂

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大型のショッピングモールの9階に入っているこの映画館は、ハリウッドのメジャー作品からマイナーなものまで数多くの作品が揃っている。 その為、休日ともなると老若男女の客でごった返している。 「どれにするの?」 指宿は伝言掲示板に目をやると声を弾ませた。 「100万回生きたゾンビ」 ちよりがそう言うと、 「すごいB級臭がするんですけど」と笑う指宿に「嫌なら他の観てください。私はこれって決めてるんで」と言い残しチケット発券機の方へと急いだ。 「これで2枚買っといて」と指宿が財布から五千円札を取り出しちよりの手に握らせる。 「ちょ、施しは受けません!」と返そうとするちよりに、施しってと笑いながら「デート代も出せない男になるぐらいなら舌噛んで死ぬよ」と言い「何飲みたい?」と飲食物のパネルを指差しながら聞いた。 ちよりはぐぬぬと言葉を飲み込んで「アイスティー、氷抜きで」と呟いた。 指宿は「了解」と返事をするとひらひらと手を振って、フード販売のカウンターの方へとスタスタ歩いて行ってしまった。
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