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高梨家のリビング。修二郎はテレビを見ながらこんがりと焼けたトーストに齧り付た。
ちよりと指宿は無言でひたすら咀嚼に専念している。
「お前ら、今日変だな」口の端についたトロリとした目玉焼きの黄身を拭いながら、修二郎が2人を交互に見た。
「僕、たぶんなんかやらかしました…」
指宿が躊躇なく自白するものだから、ちよりも黙っていられなくなってしまった。
「いや、なんにもないよ。皆昨日の疲れが出てるだけでしょ。暫くきみこさんとこ行くのは控えないとね」
それだけ言うと、ご馳走様と言い食器をまとめ始めた。
ープルルルルルルルルルル
食卓に指宿の携帯電話がけたたましく鳴り響く。
ディスプレイを見た指宿の顔が明らかに強張っている。
「すみません、ちょっと出てきます」
そう言うと指宿は携帯を手にリビングを出て行った。
指宿の行動に一々動じないと決めたちよりは、黙々と彼と修二郎の食べ終わった皿を纏め盆に乗せた。そしてそれを持ち上げると台所へと向かった。
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