秘密のレッスン

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 とはいっても、ルイスは見た目から真面目さと人の好さがあふれ出してしまってる。ゲームのシナリオでもそれ以外の一面は出てこなかった。真面目キャラの定番ギャップ、「実は裏社会の…」とか「実はドS」とかそんなものは持ち合わせてないだろう。 「参考までに、今まで誰かに話したことない話、してみてよ」  その話の中でなにかギャップに繋がるヒントがあるかもしれない。 「ええと……実は左利き!」 「そういう事じゃないんだなぁ! もっと、こう……内面が見えるようなさ」 「じゃあ、実は好きな子をついいじめちゃうタイプなんだ」 「ギャップのために嘘はつかなくてよろしい」  まあ、そんな簡単には出てこないか。 「じゃあ、次また会う時のためにちょっと考えてみてよ。私もなにかギャップを引き出す方法がないか考えてみるからさ」 「分かった。ありがとう」  今日はこのくらいにして帰ろう。あんまり遅く帰るとメイドのアリスがうるさい。  私は立ち上がった。 「そうだ、エマ」 「ん?」 「今度の休みに外で食事会でもどうかな。もちろん、リアナも誘ってね」  食事会……ゲームのシナリオでも確かそんなイベントがあったな。 「いいね。明日、リアナに聞いてみるよ」 「そっか、よかった。親戚がたくさん食材を送ってくれたから、仲良くしてくれる二人にも手料理を振る舞いたいと思ったんだ」 「手料理!?」 「うん。料理はちょっと自信あるんだよね」 「それだ!」  ギャップというにはちょっと振れ幅が小さいかもしれないけど、リアナは私にお菓子をせがんでくるくらいだから、アピールに「食べ物」は効果的かもしれない。 「当日は『手作り』っていう事を強調していこう。リアナは絶対に連れてくるから、ルイスは食事の準備に集中して!」 「わ、分かった!」  これはルイスの新たな魅力をアピールできるチャンスだ。私も精一杯サポートしないと。
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