ふたりの天使の絵

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 11月も終わろうとする頃、パリの夜は長くなり、16時ごろには日が暮れてしまう。シャンゼリーゼ大通りには15万個以上のイルミネーションが灯り、町のいたるところ、通りも街路樹も、クリスマスのイルミネーションが張り渡されパリジャンを楽しませていた。ピエールがいつも通り配達の仕事からアパルトマンに帰りつくと、ポストに手紙が入っているのに気づいた。ピエールはその手紙を手に取ると心臓が止まりそうになるほどびっくりした。それはまぎれもなくアネットからの手紙だった。そこにはアネットがピエールの物語をよんで、魂が揺さぶられるほど感動し、二人の天使の絵のイメージが降りてきたと綴られていた。 (バーの女性がカードで占って、12月に出会う女性は悪い縁だと言っていたけどそんなはずはない……)ピエールは、魂の直感でアネットこそ探し続けていた魂の伴侶に違いないと思った。彼はすぐにペンを握るとアネットに返事を書きはじめた。  そのころアネットはアパルトマンのアトリエで、ピエールのことを思いながら新しい二人の天使の絵を描いていた。その絵は、虹色の天国にいる沢山の天使たちが、幸せそうにしている二人の天使を見守り祝福している絵だった。アネットがその絵を描いているとピエールの愛を強く感じた。  数日後、ポストに入っている郵便物をみて、アネットの心臓もとまりそうになった。ピエールからの手紙だったから。  アネットは震える手で封を切ると彼からの手紙を読みはじめた。  手紙には、何度も繰り返してみる夢の話、魂に導かれるようにしてパリに来たこと、天国で呼び合っていた二人の天使の名前のことなどが綴られ、アネットの二人の天使の絵をみて、たくさんの物語のイメージが降りてきたとも書かれていた。  その後二人は手紙のやり取りを何度も重ね、会うことを約束すると、お互いに時間の合う日が決まったのが12月の半ば頃になっていた。  クリスマスもピークをむかえ、街中のいたるところが活気づき、デパートや商店街はクリスマスの飾り付けであふれていた。  ピエールと約束をした日の夕方、アネットは待ち合わせのモンパルナスの大通りのカフェ、ラ・ クーポールにむかった。モンパルナスの大通りも多くの人でにぎわい、待ち合わせのカフェの前にもたくさんの人がいた。  アネットはすぐにカフェの前の雑踏の中に一人の青年を見つけると、青年もすぐにアネットに気づいた。  はじめて会ったはずなのに、まだ言葉も交わしていないのに、おたがいの魂がそうだと告げていた。  アネットとピエールはすぐに歩み寄り、二人は微笑みながら魂で、 「ルーラン」 「エリーナ」  と呼び合った。  天国で引き離された天使のルーランとエリーナ、二人の天使はようやく地上で再会をはたすことができた。  パリはいつのまにか夜になり、クリスマスの豪華なイルミネーションで輝いていた。 二人はきらびやかなイルミネーションで輝くモンパルナスの大通りを、ぴったりと寄り添いながら歩いた。  しばらくして二人は見つめ合い、やさしく微笑みながら一緒に夜空をみあげると、夜空には数え切れないほどの星がまばたき、たくさんの天使たちが二人のことを祝福していた。                                                                               Fine
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