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第5話① 『ズブ濡れの美女』
時刻は17時15分を過ぎたころだっただろうか。
突然雨が降ってきた。
「結構本格的な雨だなー」
その日の天気予報は外れ。傘を持たずに、カバンを頭の上に掲げながら、小走りで駆け抜ける人がちらほら見えた。
「かわいそうにー」
シュウイチが、外を見ると、ひとりの金髪の女子大生がこちらに走ってくるのが見えた。かなり急いでるいるようだ。
「あんなにばっちりメイク決めて、今日デートかな。あれじゃせっかくのメイクも台無しだ。」
彼女の太ももから、足首にかけてのラインは美しかった。太くもなく、そして細すぎない。
まさに男受けする美脚といった感じだ。特に足首がキュッとなっており、アキレス腱が神々しかった。
店の入り口の掃除を終えた後、シュウイチは事務所に、戻った。
すると突然、
「すみません、遅れました!」
フロアに響き渡る若い女性の声。
「痛っ!」
どうやら肩を自動ドアにぶつけたようだ。
大雨の日の来客に少し驚き店内に出るシュウイチ。
「いらっしゃいませ・・。だ、大丈夫ですか!?」
彼女はさっきの美脚のギャルだった。
ジーンズ生地のショートパンツ。厚底のサンダル。どこかで見たことのあるロゴの入ったキャップ。オーバーサイズのTシャツ。そして、鮮やかな金髪。
「すみません!まだ、面接ってしてもらえますか!?」
ずぶ濡れのギャルがいまにも泣きそうな表情を浮かべてこっちを見ている。
「(こ、この娘がバイトの子?)」
シュウイチは、呆気に取られた。
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