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第5話② 『ズブ濡れの美女』
「だ、大丈夫!?」
どしゃぶりでズブ濡れの少女は、額から落ちてくる汗を手で拭っていた。
「最悪~。化粧やば、まじ萎える~・」
とつぶやく彼女。
「あ、遅刻しちゃってすみません!これは本当に申し訳ないです!」
「ま、まあ。この土砂降りだし、電車が遅延とかしたんですか?」
「そうなんですよ!ちゃんと面接の時間に間に合うように家を出たんですけど、電車が止まって駅で立ち往生しちゃって・・・。面接はしてくれますよね!?」
彼女のまっすぐな眼にシュウイチは、駄目ですとは言えなかった。
「タオルお貸しするので、これで雨拭いてください。準備が終わったらそこのテーブル席に座ってお待ちいただけますか?」
遠目で髪をタオルで拭く姿を見ていると、まるでお風呂上がりの女性を見ているようでシュウイチは変な妄想に陥るところだったが、気を取り直して面接の準備に取り掛かる。
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