第2話② 『突然、閉店宣告』

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第2話② 『突然、閉店宣告』

シュウイチは、迷い、落ち込んでいた。 今までシュウイチは、本部の指示通りに、ファミレスを運営してきた。食材の仕入れ、アルバイトの採用などー。特段、何も問題を起こしたことはない。 それにも関わらず、本社の決定で店舗を閉鎖して、勝手に他の部署に異動させられるなど、「なんて勝手なんだ」と納得がいかなかった。 そこで、シュウイチは新たに転職サイトに登録してみた。しかし、登録するだけで実際に何かアクションを起こすことはしない。いつもそうである。 確かに、魅力的な求人はいくつかあった。「この求人いいなあ」、「転職しようかな」と思うことは誰にでもあるだろう。しかし、それを実行するには、行動力が必須である。 どの求人も見る人の心を揺さぶるように魅力的に文章が飾られている。しかし、シュウイチは、いつも二の足を踏んでしまう。今度もそうだった。 面倒くさがりで根暗な性格。人生を何の目標もなく惰性で生きてきた。そんな人間に転職する行動力などあるはずがない。 「おれは一体どうすれば。まあ、なんとかなるか。いや、ならない。でもまあいいか。」 シュウイチは、燃えさかる焦りの炎に、吐息を吹きかけるように、まあいいやという言葉を注いだ。当然、焦りは消えるはずもない。 よく考えてみれば、今まで自分の頭を使うことなく、本部の言うとおりに仕事をしてきたことについて、度々、不安になることもあった。 しかし、シュウイチは何もしてこなかったのである。人から指示されることに慣れきっていた。「考えること」を放棄して生きてきた。それをいまさら悔やんでも仕方がない。
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