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「え、鈴音ってまだスマホ持ってないの?」
わたしは友だちのその言葉が一番イヤだった。
何人かの友だちと話しているとき、だれかがスマホを手に取ると、スマホを持っている友だちはあっという間に画面に吸い込まれていく。
わたしはその場に取り残されているように感じてしまう。
画面の中にはわたしの知らない友だちみんなの会話が広がっている。
友だちのほほ笑みの理由をわたしは知ることができない。
「ママ、スマホほしい」
「だめ 勉強だってあまりしないくせに」
「ママ、スマホほしい。クラスのみんなが持ってるんだよ」
「みんなって全員?どうせ半分くらいでしょ」
「ママ、スマホほしい。わたしがどこにいるかいつでもわかるんだって」
「まだ五年生でしょ。中学になってもっと遠くに行くようになってからで十分」
「ママ、スマホほしい。最近はやってるSNSがあって、みんなやってるの」
「そんなのなくなって、友だちとは遊べるでしょ」
「ママ——」
「ママ——」
「ママ、お願い——」
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