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〈1〉
学校とスーパーの間にある近所で一番大きな公園がわたしたちの待ち合わせ場所だった。
放課後の楽しみはいつもそこから始まっていた。
セミの鳴き声はうるさいが木陰も多い。
いちばん手前のベンチに座っているのはクラスメイトの二人の男子。
わたしを見つけて大きく手をふってくれているのは、朝日天晴。
「キラリン!遅いぞ!こっちこっち!」
天晴はわたしの保育園からの幼馴染。
名前の通り明るい性格で、運動神経も良い。
勉強の成績はいまいちだけど、クラスの人気者。
そして「キラリン」はわたし「吉良鈴音」のあだ名。
もう一人の男子は影山夕輔。
物静かで優しく少し細身の男の子。
いつも何かの本を片手に持っている。
彼は四年生のときに転校してきた、わたしたちの間では一番新しい友だち。
あだ名は「カゲ」
名前が影山ってこともあるけど、転校してきたばかりのころはずっと教室で一人で読書をしていて、「影が薄かった」ってこともあったみたい。
天晴がしつこく話しかけるようになってからは、だんだんと一緒に遊ぶことが増えていった。
運動は少し苦手だけど、なんでも知ってるし、勉強も学年だんとつトップ。
大きなレンズの丸メガネにはいつもくもり一つない。
「キラリンさん、そんなに嬉しそうってことは?」
カゲがメガネを直すとレンズに太陽の光が反射した。
「じゃーん!」
わたしはリュックから「スマホ」を取り出した。
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