優しい観客と幸福の風音

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深夜、あたしはメッセージアプリで友達とやりとりをしていた。 お題は『幸せになる方法』についてだ。 正直言って、やりとりしている友達は反応が良いタイプじゃない。どことなくドライだし、たまに能面みたいな顔をするときがある。 その子といくら文字を交わしても、直接的な『幸せになる方法』には辿り着かなかった。まあそりゃそうだ。万人が幸せになる秘訣があるなら、ほとんどの人が実践して、日本は幸福な国と呼ばれるだろう。 だけどそんな方法なんてないから、人は宗教とか天然石とか縁結びのなんちゃらに頼るんだ。 《結局さ、幸せになれるかどうかなんて生まれとルックスじゃない?》 簡単に言えば親ガチャによる。親が裕福で美男美女なら、そいつは一生安泰な幸福ロードを突っ走れるはずだ。そう書くと、友達はこう返事した。 《(あさ)()先輩に訊いてみたら? あの人だったら良いアドバイスくれるかもよ?》 ほぉ、麻美先輩か。あたしの中学時代の先輩だ。途中で引っ越しちゃったけど、あたしたちの中学では抜群の人気者で、今でも仲間で集まると話題になることも多い。 《でも、連絡先が分かんないよ。そもそも会ってくれるんかな?》 本音を言えば会いたい。彼女がどのぐらい魅力ステータスを上げたのか見てみたい。芸能界に入っていると言われても納得するぐらいキレイな人だった。 《わたしが連絡先知ってる。連絡ついたら連絡するね。きっと先輩は会ってくれるよ。だから()()、ファイトだよ!》 そのように返事が来て、あたしの気分は高まった。さっきは反応が良いタイプじゃないなんて思ってごめん。あんたはやっぱり、あたしの友達だよ。グッジョブ・マイ・フレンド♡
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