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「ミサ? いや、私に連絡よこしてきたんは晴美やけど。ミサって名前の後輩も数人おるけど、理香が言うとるんはどのミサや?」
ははあ、なるほど、美沙は自分が貸しを作ったと思われたくないんだ。そうだとしたら、あの子の名前を出すのは野暮だよね。あたしは、うっかりって感じで笑って見せる。
「そうそう、晴美でした。記憶が入り混じってたなあ。すみません先輩」
美沙と仲良くなったのは中学を卒業してからだから、先輩の記憶にないなら好都合だ。美沙も美沙で地味な子だったし、もしかしたら先輩はあの子の存在すら知らないのかも。
「ま、ええけど。それより晴美から聞いたで。あんた、幸せになる方法とやらを知りたいんやてな。私がアドバイスできることなんか限られとるけど、とりあえず話聞こか。核心はそこやないやろ。理香はおそらく現状に行き詰っとる。まだお日さんも高いし、幸いあったかい。溜まっとるモンちょっと出してみ」
素敵オーラ全開の先輩と、温かい紅茶と梅の花。これってやっぱりメルヘンだよなあ、と思いつつ、あたしは今日までの経緯を話し始めた。
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