優しい観客と幸福の風音

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麻美先輩は、神々しいまでのキレイな横顔で寂しそうに話を聞いていた。 先輩にあたしの苦悩なんて分かるはずがない。素材からして違うし、性能からして違うんだ。軽トラと高級外車以上に、あたしと先輩では違うものが多すぎる。 「理香も苦しんできたんやね。けど、自分を安売りせんでもええのにな。あんたの言う幸せは、今のまんまじゃ永遠に掴めんよ。余計なものと足らないものがアンバランスで、もっと(こじ)らせてく予感しかないわ」 先輩はそう言って、薄青い空を見上げた。その瞳には、まるで懐かしい虹を見つめるような、言葉にしづらい感情が揺らめいていた。 「それって何ですか? ヒントがあるなら教えてください」 訊くと、本当にキレイな横顔で、ペットボトルに口をつけた先輩。唇から花の香りでも溢れてきそうで見惚れてしまう。 「せやな。ズバリ言うわ。理香の間違うとるとこをはっきりさせとこか」
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