マカロン

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ドヤ顔くらいいくらでも…ってくらい、本当に尊敬すべきところがある井原さんは、私のアパート前で 「これ、どうぞ。今日の疲れを癒して」 と小さな包みを私に差し出した。 「ありがとうございますっ」 これがワクッとする瞬間なことは認める。決して恋心があるのではないけれど、彼の仕事面とポジティブさは尊敬するし、この…餌付けされてると言われようが…彼がくれるスイーツのスモールプレゼントは正直に嬉しい。 最初は断って、でも断りきれずもらっていたのだけれど、井原さんがレア菓子を仕入れてくるので、ワクッとしちゃう。 「開けていいですか?」 「どうぞ」 小さな包みを開けると 「あ、マカロン…可愛い」 マカロンが2個見えた。 「この瞬間の和紗が最高に可愛い」 私が就職を決めた基準が、大のスイーツ好きだからという理由を彼は知っている。 「また…売り切れる有名店のですねぇ…」 「すーーっ。よし、ため息と一緒に漏れた幸せは俺がキャッチしたから。ちゃんと和紗に返すよ」 「……返す?ため息を?」 「漏れた幸せを、だよ」 「どうやって…?」 「マウストゥマウスが最速最短」 「丁重にお断り致します。これはありがたくいただきます。お疲れ様でした」 「お疲れ様。心配しなくても、幸せは預かっておくから」 ……やっぱり尊敬の半分くらいは返して下さい……
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