2957人が本棚に入れています
本棚に追加
ドヤ顔くらいいくらでも…ってくらい、本当に尊敬すべきところがある井原さんは、私のアパート前で
「これ、どうぞ。今日の疲れを癒して」
と小さな包みを私に差し出した。
「ありがとうございますっ」
これがワクッとする瞬間なことは認める。決して恋心があるのではないけれど、彼の仕事面とポジティブさは尊敬するし、この…餌付けされてると言われようが…彼がくれるスイーツのスモールプレゼントは正直に嬉しい。
最初は断って、でも断りきれずもらっていたのだけれど、井原さんがレア菓子を仕入れてくるので、ワクッとしちゃう。
「開けていいですか?」
「どうぞ」
小さな包みを開けると
「あ、マカロン…可愛い」
マカロンが2個見えた。
「この瞬間の和紗が最高に可愛い」
私が就職を決めた基準が、大のスイーツ好きだからという理由を彼は知っている。
「また…売り切れる有名店のですねぇ…」
「すーーっ。よし、ため息と一緒に漏れた幸せは俺がキャッチしたから。ちゃんと和紗に返すよ」
「……返す?ため息を?」
「漏れた幸せを、だよ」
「どうやって…?」
「マウストゥマウスが最速最短」
「丁重にお断り致します。これはありがたくいただきます。お疲れ様でした」
「お疲れ様。心配しなくても、幸せは預かっておくから」
……やっぱり尊敬の半分くらいは返して下さい……
最初のコメントを投稿しよう!