命の限り僕はあなたに恋をする

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しかし彼女と交わした最初の会話は最悪だった。僕はこれほどまでにコミュ症だったのか、と……。 僕は息をつくため学校の廊下をひとり歩いていると、 「真柴(ましば)くん……!」 後ろから僕の名が呼ばれた。女の子の声だ。え……?と思いながら振り向くと、奥から走ってくる三鬼さんの姿だった。 僕は目をグルグルさせながら動揺する。 え、え……っ、なにごと?! 「ど、どうしたの三鬼さん? そんなに慌てて??」 「初めてだったから…」 「……え?」 彼女は恥じらっているのか。頬を少し赤らめモジモジとしている。 な、な、な、なn……。 「……真柴くんと会話したのが」 「え? あ……」 僕と話したのが、であった。 「真柴君がせっかくさっき話しかけてくれたのに、私もうまく話が出来なかったから……」 「え? それでここまで来てくれたの?!」 「それはそうよ。私のクラスメイトだもの」 自信満々の彼女に僕は感嘆とする。 流石だ……。僕にはないカリスマ性だ。 僕は彼女を天使かなにかに見えた。 「僕みたいな陰……地味な生徒の名前まで覚えてくれて…」 「すべてのクラスメイトの名前は覚えているわっ。クラス委員長だもの」 その言葉で僕は周りに影がなくなるほど、眩しく光る太陽のようなものを感じた。それはとても温かく、僕はそのなにかから手を差し伸べてくれるかのような気分になった。 「今後ともよろしくね真柴くん!!」 そう言って明るく笑う彼女の姿がもう僕には女神さまだった。 僕は彼女と少しでも一緒にいたいから、あれ以降積極的に彼女のお手伝いをするようになる。 とはいえほとんど重い荷物を運ぶ程度の手伝いなのだが。 そうして彼女と話してみると、少しだけ彼女のことが分かった。 みんなと一緒に良い方へ進むのが好きで、常に高い目標を持って、周りが楽しく過ごすしている姿を見たいという。 この非の打ち所のない彼女の姿勢に、僕は改めて自分とは別世界の人間だと実感した。 そして今日も僕はいつものように彼女が使った重い荷物を運ぶ。 「真柴くん、いつもありがとう」 「ううん、したくてやってるから、気にしないで」 僕はこんな感じに彼女の前では明るく振る舞うようになる。 僕自身がもう少しでこの世から消えていなくなる存在。 彼女の邪魔だけは絶対にしたくない。 だけどほんの少しで良い。ほんの少しで良いから、僕は好きなこの子と一緒に朗らかな気持ちで歩いていきたい。 そう思っていたまさにその時である。 「よ、真弓美っ」 僕たちの目の前に校内随一の美男子が現れるのだった。
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