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スターって、何だ。アイドルみたいなものか? でも一番初めに会長、「スター」の前に何か聞き捨てならない単語を言ったような……
「玉雪、お前は最高のSMスターになるんだ」
「エッ、エ、SMってっ? 何言ってんですか会長っ、意味が分かりませんって! そんなの俺、一言も聞いてませんけど!」
「はっはっは、だからサプライズプレゼントなのさ」
「サプライズの意味を履き違えてます、会長っ!」
この一年間、一体何だったんだ。あれだけ優しくしてくれたのも、何不自由ない生活をさせてくれたのも、俺を抱かなかったのも、全部全部……俺を「SMスター」とやらにするためだったと言うのか。
会長が俺を抱きしめ、犬の子を撫でるみたいな手付きで俺の頭を撫で回す。
「ああ、愛してるよ玉雪。これからお前の成長を間近で見られると思うと俺は……!」
「ちょっ、……会長っ! マジで俺、そんなつもりは……!」
「我が三上グループが全力でお前をバックアップするから安心してくれ。お前の美しさ、若さ、男らしさ、全てを最高の状態で維持し続けると約束しよう。欲しい物は何でも買ってやる。お前専用のジェット機だって用意してやる」
「い、要らないから!」
「期待してるぞ、玉雪」
「う、……」
このキラキラの瞳に見つめられると、何も言い返せなくなる。本当に子供のように純粋な期待と好奇心に満ちた、吸い込まれるような瞳。
……どうせ俺の命は、元から会長に救われたようなモンか。会長がいなければ俺は今頃……
「……わ、分かりましたよ。よく理解してませんけど、俺なりにやってみます……」
「それでこそ俺の玉雪だ!」
俺を抱きしめる力強さにくらくらしながら、俺はさっきからソファの前に突っ立っている男──堂島頼寿に視線を向けた。
こいつが俺のパートナー。
俺は、一体こいつと何をすることになるんだろう。
つづく!
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