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司朗は子供の頃から甘い物が大好きだ。 「神威~、それ何食べてんだ?」 「お母さんが焼いてくれたケーキだよ」 「ふ~ん。良い匂いだな…おいしそう…」 「…一緒に食べる?」 「いいのか!?食べる!!」 母さん特製のキャロットケーキ 綺麗なオレンジ色のケーキが司朗の大好物だ 美味しそうに食べる司朗を見るのが、俺も好きだった。 司朗の甘い物好きは現在進行形で。 「なあ、神威。キャロットケーキが喰いたい」 「ん~、母さんに今度作ったのを送ってもらうか?」 「待てねぇよ。俺は今すぐ食べたいの!」 「んなムチャ言うなよ…」 「神威も作れるんだろ?作ってよ!」 仕方なしに準備を始める俺の背中に、ピッタリと張りついたまま後ろをついて来る司朗に “邪魔だ” と言いつつ微笑いを噛み殺す。 ケーキが焼きあがるのを待つ間の司朗も 口許にクリームをつけながら頬張る司朗も 子どもの頃から何ひとつ変わりはしない。 甘い香りがすると言って俺の指先に触れる司朗の手に、 子どもの頃同様にクリームをつけたままの司朗の口許に、 そっと唇を寄せる俺だけが大人になったんだろうか…?
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