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Ⅳ
「もういいかーい」
「もういいよー」
ガキの頃、俺はかくれんぼが下手クソだった。
「司朗、見ぃつけた!」
「えぇ~!もうかよぉ?何でバレるんだよ~」
神威が鬼になると、必ず最初に見つかるのは俺だった。
「もういいかーい」
「まぁだだよぉ」
逆に俺が鬼になると、必ず最後まで見つけられないのが神威だった。
どれだけ捜しても、どこを捜しても見つけられず、泣きそうになるのを必死に我慢していたっけ…
「なぁ、アレってどうしてだ?」
幼い頃の疑問を、イイ歳の大人になった今さら聞いてみる
「ん~、簡単なコトだよ。司朗はいつも何処かちょっとだけ見えてた。好きな奴の些細なコトも見逃さないようにしてただけだよ。それに、俺はいつだってお前に “ここにいるよ” て、伝えてたつもりなんだけどなぁ」
意地悪く笑う神威にムカついて、ヘッドロックを仕掛けながら嫌味を言う唇を唇で塞いだ。
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