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第2話 56し屋になった日
そう、あれは僕たちがまだ、7歳の時だった。
僕たちの家族は、僕と彩華、お母さんとお父さんの4人家族だ。
お母さんは僕たちにとっての宝物で優しい人だった。
一方でお父さんは僕らやお母さんに暴力を振るDV野郎だった。
ある日、お父さんは機嫌が悪かった。
僕たちがテレビを横切ったりだとか、タバコが切れたとか何とかで殴られたりもした。
その時、お母さんは体調を崩して入院中だった。
「やめて、お父さん!」
僕は弱いから、いつも暴力を受けていた。
彩華は僕を必死に守ったから、身体中にあるたくさんの痣が目立っていた。
そんな時、
ガチャ
「おやおや、子供に暴力ですか?」
と知らない男が家に入ってきた。
「あ?誰だテメェ?」
お父さんは男の人に向かって威嚇していた。
知らない人が入ってきたなら、そりゃそうなる。
(た、助かった……)
僕がホッとしていると、
「君たち、大丈夫かい?」
男の人が僕たちに声をかけてきた。
お父さんの言葉を無視して、僕らに声をかけるなんて勇気ある人だと思った。
案の定、お父さんはブチ切れた。
「おい、無視してんじゃねぇよ」
そう言って、男の人を殴った。
それと同時に、
バンっ!
銃声の音が聞こえた。
僕らは目を瞑り、彩華と抱き合っていた。
(なに、今の音!?)
目をゆっくり開けると、お父さんが血を流して倒れていた。
「え……?」
男の人の手元を見ると、銃があった。
お父さんは、僕たちの目の前で銃殺された。
(もしかして、僕たちも殺される?)
そう思った僕は彩華を守るまいと男の人に威嚇したら、彩華が前に来た。
「透華に何かしたら殺す」
彩華からは強い殺気が感じられた。
すると、
「そんなに威嚇しなくても大丈夫だよ。僕の標的はコイツだからね」
笑顔で男の人は言っていた。
「もう、大丈夫、お兄さんと帰ろう」
そう言って、僕らに手を差し伸べた。
そして、彼は何者なのだろうかと僕らは思った。
(ターゲット……?銃?)
「お兄さんは何者なんですか?」
疑問に思った僕はお兄さんに聞いた。
「僕は56し屋だよ。ちなみに僕の名前はRUI《るい》だよ」
まだ、7歳だったから56し屋というのがどんなものか分からなかった。
ここからはもう覚えてないけど、僕らはRUIの勧めで殺し屋になった。
お父さんはRUIの知り合いの人が遺体を持って行って、後片付けをしていた。
「RUIさん、彼らは?」
「あー、彼らは死体を片付けたり、殺人の形跡が残らないように処理してくれる人だよ。まぁ、時期にわかると思うよ」
そう言ってRUIさんは帰っていった。
(僕らは56し屋になったんだ……)
56し屋にはなったけど、あまり実感が湧かなかった。
僕も彩華も知らなかった。
まさか、最初の僕らの標的があの人だったなんて!
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