夢の中で

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「っ! ……はあはあ」  勢いよく飛び起きると、いつもの私の部屋だった。  不快感を覚え、体を見回すと全身汗でびしょ濡れだった。  彼が勧めた睡眠薬は効果抜群で、服用したその日から毎日のように眠ることができた。  しかし別の問題が浮上した。夢の中で必ず彼氏との思い出が再生されるのだ。  今となってはそれら全てが嫌な記憶として私を蝕み、とても心地いいとはいえなかった。 「どうしよう、あの人に相談した方がいいかな」  そう呟いて、私は咄嗟に口を塞いだ。彼と私は数回あった程度の仲なのに、こんな私事を相談するなんて何を考えているんだろう。 (ダメよ……男は簡単に裏切るんだから)  彼の優しさに騙されているだけだ、そう自分を戒めて、私は重い体を持ち上げてベッドから抜けだした。
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