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静寂に包まれた深夜。月の光が薄らと照らすアパートの一室に私は暮らしている。
明かりはそれだけで、ぼんやりとした視界の中私は辿々しい足取りで質素なベッドに座った。
側の丸テーブルに置いていた瓶から錠剤をガバッと取り出し、その勢いのまま水と一緒に飲み込む。
若干の気持ち悪さを感じながら、私はベッドに倒れるように寝転がった。
二週間前に遠くへ行ってしまった彼を思い浮かべながら、スッと瞼を閉じる。
もう限界だ。
大きな手で優しく私を抱きしめてくれる彼。重低音の彼の声は耳を心地よくさせてくれた。
二週間耐えてきたが、彼のいない生活は耐えられない。
だから私も彼の元へ行こう。
薬の影響で次第に意識が遠くなっていく。
強張る体の力を抜いて、私は夢の中で、彼の元へと旅立っていった。
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